スタディ・グループ『松井周の標本室』の、2022年度メンバーを募集致します。

はじめに

こんにちは。松井周です。

今年も標本室のメンバーを募集します。
おかげさまで三年目を迎えることができました。

さて、今年のテーマは「クセ」です。
今、私たちはコロナの影響もあり、あらゆる縁から遠ざかり「孤立」を余儀なくされています。頼りは自分自身と言われても、何を基準に自分を測定していいのかもわかりません。
僕は「クセ」を頼りにすればいいのでは?と思います。自分の無意識にしてしまう行動や趣味嗜好のルーツをたどりながら、何かを表現することを試みて欲しいです。

「クセ」を意識化してアウトプットできれば、それは国も文化も越えた、多様な表現になりうるのではないかと考えます。その視点に立って、もう一度人間を捉え直すような、新しい縁を作ってみたいです。

社会的な人間でありつつも、衝動を抱えた動物である私たちの「クセ」を受け入れながら作品づくりを楽しんでいこうとするメンバーを募集します。

演劇をやっていてもいなくても大丈夫です。「クセ」が強い/弱いにかかわらず、自分自身を掘り起こしていくことを楽しみ、誰かの「クセ」にも興味を持っていただければ。(※当然ですが、決して何かのカミングアウトを強要するということはございません。)
お待ちしております。

松井周

参加申し込みフォーム

■コンセプト

生産性や経済効果、短期的な目標や見返りについて考えないですむコミュニティがあっても良いと考えます。
知的好奇心によってつながった人たちがサンプル(標本)を持って集まり、話し、さらに新しい好奇心を生み出すような「かまど」ができます。

答えを出すのではなく、そこに集えば何らかの「熱」を感じられるような場所、それぞれが持ち寄った情報も知恵もふるまいも、共有することで「熱」に変わり 直接的な解決のためではなく、迂回して問題を考えるような緩衝地帯としての場所を作りましょう。

標本室メンバー自身も「標本」であり、また、標本室の活動を通しあらたな「標本」を発見していきます。
「標本」を意識することで世の中を少し違って目線で見たり、 好きなことを興味関心の赴くままに自由に話しあえる場を作りたい。

そんな思いのもと、 2年目は各々のセルフテーマを探求し、みんなで議論したり、読書会をしたり、作品発表を行ったりしてきました。3年目も、引き続き自分の中の「どうしても気になってしまうテーマ」をアウトプットして見たい方を募集します!

■対象者

年齢、性別、所在地不問。(第2期では10代~70代の方がいらっしゃいました)
何か実験してみたいことや、表現したいテーマを持っている方。

芸術やカルチャーに興味があり、人と好奇心を共有することが好きな方や、新しい物事の捉え方に敏感な方、長い時間意識に興味がある方も歓迎します。

標本室の概要をつかみたい方はまずこちらのスライドをご覧ください。詳しい活動内容は本ページに記載しています。

■参加方法

①下記のフォームより参加希望の旨をご連絡ください
*3月末までに入室可否をメールでご連絡します
応募はこちらから>>【参加申し込みフォーム

②ご参加される方は、コミュニティ用のトークルーム(Slack)へ、招待いたします

③オフライン定例会についてはスレッドでお知らせしますので、随時お申し込みください

■募集要項

募集期間:2022年3月1日(火)〜3月26日(土)
募集人数:30名程度
*定員を超える応募があった場合には、運営にて選考を行う場合があります
活動期間:2022年4月1日 〜 (23年3月末までが第3期となります。)
参加料 :1,500円/月 ※入会前に、年会費18,000円をお振り込みいただきます。
*企画により、別途実費がかかる場合もございます。

■活動内容

標本室の活動は【全体での活動】と【個別での活動】があります。

◇全体(公式)での活動
①標本会議(年4回程度 オンラインまたは対面)
②温室(月1回 オンラインミーティング)
③回遊型展示
 標本空間(年1回程度)
④その他イベント

◇ 個別(有志)での活動
⑤ソロ活:1人での活動*
⑥部活 :チームを組んでの活動

* ソロ活の一つとして、松井周も新しい作品の創作過程を発表していきます。他のソロ活と同様に、自由に閲覧可能にしていきます。

全体での活動

①標本会議

誰でも俳優になれる! 未来を生きる! 憑依系カードゲーム!

***
20XX 年。助けて下さい!この国は未来への舵取りができなくなっています! そんな中、急遽「標本員制度」が施行されました。様々な職業や立場によって無作為に選ばれた国民は、提出された問題について、二回の会議への参加を求められます。 あなたの意見でこの国の未来が変わります。 ざっくばらんに意見を交換するところから始めましょう。
***

標本会議では、フィクションを交えたロールプレイングをすることで、私たちの未来を予測し、私たちの現実のふるまいにおけるヒントを探ります。 カードに書かれた役割になって会議をすることで、誰でも俳優として演劇をすることができます。難しく考える必要はありません。

ざっくりと「他者」を想像してみることからはじめます。そうやって何かの「標本」になってもらいます。

「もしも今の自分と違う性であったら」
「もしもXXXXX法案ができたら」

「演劇的な役割」をまとうことで、言葉にしづらい問題や避けてしまう問題を、受け止めてみようという試みです。

②温室
​毎月テーマを設定し、温室用のトークルームを作成いたします。​
テーマは標本室の方からの持ち込みも歓迎です。指定された時間になりましたら、ルーム内ミーティングを進めていきます。

③回遊型展示 標本空間
⑤⑥ソロ活・部活にて制作された発表のうち認められた企画は、標本室員の作品コレクションを意味する「標本空間」にて作品を発表していただきます。

④その他イベント
外部ゲストを呼んだトークイベント、読書会、遠足、稽古見学などを企画中です。

◇個別での活動

⑤⑥ソロ活・部活
メンバーが主体となって、パフォーミングアーツに関わる何らかのテーマを個人またはチームで探求して頂きます。チームについては、標本室メンバーから募集することも可能で、チーム集めのための発表の場も作る予定です。

松井周が全体の監修となり、個別のトークルームを作成します。
トークルームは誰でも閲覧可能な形とし、定期的に状況を報告して頂いたり、作品発表をして頂きたいと思っています。

また、本企画は対外的な作品制作の資金援助もあります。
企画会議を開催し、取組み計画を発表していただいた方のうち、認められた企画には補助金を出します。

例えば…
4-5月 これからやりたい活動についてのプレゼン会、チーム集め
9月  (中間)成果発表会 ⇒ 援助する企画の決定
12月 対外的な作品発表
※2022年4月~2023年3月の中でアウトプットを出して頂ければ、スケジュールはある程度自由に決めて頂くことが可能です。

なお、ソロ活の一つとして、松井周も新しい作品の創作過程を発表していきます。他のソロ活と同様に、自由に閲覧可能にしていきます。


〈参加者の声〉

 私は俳優とセラピストをしています。

自分とは異なる身体を持つ人との出会った時の違和感が好物で、そんな相手になにか作用を及ぼして状態を変えたい欲望を持っている。ようです。

俳優とセラピスト。自分の中では繋がっているのに、それを言葉にできずモヤモヤしていた私にとって標本室は、現場では探求しきれない個人的な興味を言語化できる場所です。

コロナ禍で労働と生活の行き来ばかりになってからは特に、温室のチャットで話したり、自分の活動用スレッドにリアクションがあったり、松井さんからフィードバックがあった時、生活と労働を繋ぐ通勤路に抜け道を見つけたようにハッとします。あ、そっちにも行けたよね。と。

いまや私にとって標本室は、この世界にたくさんの選択肢や可能性があったことを思い出させてくれるトリガーにもなっています。自分を標本として眺めてみた時に浮かび上がってきた新たな自分像を手すりに、今後は演技に見えるもみほぐし「ほぐしばい」を展開していく予定です。

(30代・東京都)

標本室の良さというのは、決められたゴールを前提にしていない創作活動にあるのかなあと思っています。

もちろん、創作するからにはどこかに発表したいのですが、私の場合は明確な締切などはなく、毎回楽しさを共有できる人達と一緒に創作しています。この創作がまた楽しい。

私は愛知県に住んでおり、やりとりはSlackやZoomがメインでしたが、地方に住んでいてもさまざまな人達と交流でき、ふとした瞬間に気付きも多く得られました。 AIに関する創作をしていたのですが、Zoom上でAIと一緒にリーディングをした後、改良点、感想などを標本室メンバーから頂いて、アイディアが育っていくのも面白いです。

標本室で世の中をアッと驚かせられる作品を作りたいですね。

(30代・愛知県)

僕が最初、標本室に惹かれたきっかけは “かまどのような場所” という定義でした。自分は表現者なのか、そうではないのか、その中途半端なところでよくわからなかったのですが、この標本室という場所はそんな、よくわからない場所に浸ってみる、そんなところでした。

自分のテーマを決めて、それについてとことん考えてみるのもよし。わからなくなったら標本室にいるメンバーに助けを求められるし、そこから自分だけでは思い付かないことを言っていただいたり、時には一緒に考えを深めたり整理してくれたり、ほんと文字通り、”かまど” の中でグツグツと煮詰められました。

何より最も刺激的なのは、いろんな他者のテーマやその人から出てくることを間近で感じられるところです。物理的な距離をとらなければいけないこの時に、オンライン・オフラインを通じた標本室の交流はリアルに支えなりました。

(20代・埼玉県)

標本室では、 「まず言ってみよう」「とりあえずアウトプットしてみよう」と、みなさんがどんどん投げてくれることで「あ、わたしはこう考えるかも」という思考の発芽があり、発言することへの恐れ、ハードルのようなものが軽くなったと思います。

私のテーマは「電信柱と自己」 (社会の中の自分が道端の電信柱と似ている瞬間がある)というもの。電信柱の物質的な側面と、社会における立ち位置を擬人的な側面から思考し、演劇や展示にするというチャレンジをしてみて、より本質的な「もやもやの根源」に迫ることができました。
その考えをチャンネルに投稿すると、また違う角度からレスが返ってきて、新たな角度をさぐってみてという、思考の冒険!

月に1度の「温室」では、さまざまなバックボーンをもった方と、そのバックボーンを時に用い、時に捨て、色々な角度から「おしゃべり」ができました。
自分の固定したテーマから、時事的なこと、日常生活で気づき考えたこと、、、、オンラインだからすぐにアクセスし発信することが出来るって、すごく人間的です。1年間、自分がどう思考していたのか、その足跡を残せたという愉しさでいっぱいです。

おもしろいですよ、標本室 (^^)

(20代・東京都)


■第2期 活動概要

・2021年9月 標本空間 vol.1『無選別標本集』

標本室員23名の作品を、無選別に陳列しました。
演劇、ダンス、映像、小説、展示、音楽…さまざまな作品が集まりました。

『無選別標本集特設ページ

・2022年3月 標本空間 vol.2『遊び場的ワークショップ集』
3月17日〜20日にて公開いたします。詳細は、こちらの特設ページをご覧ください。

・温室

月1回、チャットを用いて自由に思いを巡らせました。

<開催テーマ>
#1 恥ずかしいことってなんですか
#2 虚しいとはどういうことか
#3 あなたの味方はどんなもの
#4 人が変わるとは
#5 軽薄とは
#6 応援とは
#7 わかるとは
#8 渇く
#9 ペースあるいはテンポについて
#10 タイムリミットについて

・標本会議
数ヶ月に一度、標本会議を行いました。

・その他

*2回ゲストを招いたトークイベントを行ったほか、キックオフイベントや有志の観劇会などを実施致しました。

<トークイベント>
#1 ゲスト:戸川純さん
「コロナ禍での表現活動について」
#2 ゲスト:オガツカヅオさん
「幽霊とどう付き合う?」

*2021年7月 サンプルワークショップにて、標本室の方にレポートを作成していただきました。

*2021年8月 有志メンバーと、熊本県のエコヴィレッジ、サイハテ村へフィールドワークに行きました。(事前にPCR検査を行ったほか感染症対策を施して実施いたしました。)



■第1期 活動概要

・2020年8月 セルフサービス

コロナ禍でのセルフレポートを探求する作品を発表しました。
事前に設定したテーマを、標本室の皆さんで調査・深堀りして頂き、発表された要素をインスピレーションとして、作り上げた作品です。標本室メンバーの提供脚本を利用したり、標本室メンバーもご出演頂きました。

©Ryo Iwase

・温室

月1回、チャットを用いて自由に思いを巡らせました。

<開催テーマ>
#1 ミッドサマ―から考える信仰について
#2 新生活様式下における演劇について
#3 暴力ってどうですか?
#4 共同体について
#5 フィクションの割合について
#6 知性ってなに?
#7 「これ」に名前を付けるなら?
#8 今欲しいフィクション
#9 どこに「価値」を見出しますか?
#10 許しって何?
#11 あなたの欲望は?

その他

2回ゲストを招いたトークイベントを行ったほか、キックオフイベントや有志の観劇会などを実施致しました。

<トークイベント>
#1 ゲスト:三浦直之さん
「劇作家・演出家の標本:劇作家・演出家とは何者か?」
#2 ゲスト:柄本明さん
「今本当に欲しい体験とは何か?」

2020年9月 サンプルワークショップにて、標本室の方にレポートを作成していただきました。

皆様のご応募、お待ちしております!

お問合せ先:
ご不明点がある方は、hyohonshitsu@gmail.com まで、
件名【標本室3期募集について】としてご連絡下さい。


標本室の活動にご興味のある、地域創生/演劇を使った教育/価値観を揺さぶるワークショップにご興味のある方へ

「松井周の標本室」は定期的に交流してくださる地域や、活動発表のスペース、ワークショップ開催依頼を随時募集しております!

ご興味のある方、詳細をお伺いしたい方は、hyohonshitsu@gmail.com までお気軽にご連絡ください。


主催:有限会社quinada /一般社団法人サンプル
助成: 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京