サンプルとは

松井周(劇作家・演出家・俳優)の主催する個人ユニット。青年団自主企画を経て、2007年に劇団として旗揚げ。2017年に個人ユニットになる。演劇という現実と虚構の入り混じった表現を通じて、人間とはいかに複雑な動物であるかを問う。人間は「ホント」と「ウソ」が切り離せない動物であり、時には思いも寄らないふるまいを行ってしまうことを、移り変わりの激しい現代社会の「サンプル」として表現する。松井周の世界観、言葉、肉体表現が「デタラメな現実世界を生き抜くための抵抗ガイド」として機能することを目指している。活動範囲は、公演、ワークショップ、雑誌、芸術祭への参加などあらゆる方向に広がっている。

松井周

1972年生まれ、東京都出身。
大学時代に寺山修司や唐十郎のアングラ演劇に影響を受けるが、平田オリザの現代口語演劇との出会いをきっかけに、1996年俳優として劇団青年団に入団。作・演出を手がけるようになり、2007年劇団[サンプル]結成、青年団から独立。
2011年『自慢の息子』で第55回岸田國士戯曲賞受賞。
伊、仏、米、台湾に続き韓国では3戯曲が翻訳上演されるなど国内外から評価を受けている。またNHKが立上げた脚本開発特化チーム<WDR>のメンバーに選ばれ、NHK土曜ドラマ『3000万』などの脚本を手がける。
2020年より「演劇」を通して世の中に思いをめぐらそうと立ち上げたスタディ・グループ、「松井周の標本室」を運営している。

私がサンプルでやりたいこと

人間を疑うこと、これが出発点でした。

人間には統一された「自我」などなく、あるとしてもそれは多様でころころ変わるような一時的なものではないかという疑いです。言語活動を行う「自我」のない動物として人間を捉えたいと考えて作品を作ろうと思いました。つまり私たち人間は能動的に何かを選択し行動しているわけではなく受動的に何かを選択させられて動かされているという状態を演技の基本として作品を作るのです。俳優と同じ空間にある全ての物(テーブル、イス、人間、エアコン、棚、観客等)が俳優を誘惑します。また、俳優の外側だけでなく、俳優自身の記憶に誘惑されることもあるでしょう。

私は受動的で信用ならない人間を肯定するために作品を作っています。