蒲団と達磨
神奈川芸術劇場 大スタジオ
2015年3月6日[金] - 15日[日]
- 脚本
- 岩松了
- 演出
- 松井 周
- 出演
- 古舘寛治古屋隆太辻美奈子奥田洋平(以上、サンプル・青年団)野津あおい(サンプル)安藤真理大石将弘(ままごと|ナイロン100℃)田中美希恵(範宙遊泳)新名基浩松浦祐也松澤匠三浦直之(ロロ)
舞台はある夫婦の寝室。祝い事のあと、いつになく他人が出入りする密閉空間。言外に潜むあやういそれぞれの秘密、我慢、爆発寸前の中年の性欲。岩松了の89年岸田國士戯曲賞受賞作品を、松井周が垂涎のキャスティングでねっちりと描く。
松井周は成長期の男の子のようで、しゃべる時その表情のどこかに「この人、わかってくれてるだろうか?」という不安をかかえている、だからいっぱいしゃべる、いや、いっぱいしゃべってるように感じる。たぶんふところの深い女が抱え込むために生まれてきた男だ。「大丈夫、ほら、大丈夫だよ」と女は言うのだ。その寝顔は女に多大なる満足を与えるはず。
『蒲団と達磨』は、私が36歳の時書いた戯曲だ。「わかってもらえるだろうか」という表情を私もしていたかもしれない。忘れもしない、この戯曲を私はほぼ三軒茶屋の三軒の喫茶店で書いた。喫茶店を移る時、茶沢通りを歩いて気持ちを新たにした。そして、5時から9時の閉店までいた三軒目喫茶店、何日目かに私はその店のマスターに、今日限りにしてくれ、と言われたのだ。タバコを山のように喫って、カリカリと大きな虫のように背中を丸め書き物をしている男が気持ち悪くなったのだろう。なにしろ、閉店間際には私とマスター二人きりになるのだ。私は平身低頭、二度とその喫茶店には行かなくなった。私の事情とは無縁のところで世間は動いていた。これは、喜劇か?悲劇か?
わかってもらえるはずはない、そう言い切りたいが、その本当は、この世では禁句。わかってくれる、そう思う限り、この世は嘘さ。そしてその嘘をしあわせと感じる。ふところの深い女の多大なる嘘。
私たちは、嘘の中で眠っている……。
松井くん!頑張ろうね!
岩松了
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ローチケ演劇宣言!〜インタビューしちゃいました!!〜
サンプル「蒲団と達磨」岩松了×松井周
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