このたび、サンプルとquinadaの主催で行おうとしていた準備中の作品のキャスティングにおいて、俳優Aさんへのオファーを一方的に取り下げたことをお詫びいたします。


(以下、実名を避け、また実名が特定されることを避けるために、多少、わかりにくい表現になることをご了解ください)


私がオファーを取り下げたのは、AさんのSNSへの書き込みがきっかけでした。
準備中の作品に出演が決まっていたAさんがSNSにおいて私への不信感を表明していると私が誤解し、 共同の作品づくりは難しいと考え、事実確認をしないままに、代理の者を通じて出演のオファーを取り消しました。

ちょうどオファーを取り消した一週間ほど前に、Aさんが参加していた他の公演が中止になりました。

その公演の稽古でAさんがほかの俳優からパワーハラスメント を受けたと感じておりまたその公演の主催者Bは、以前からの私の知り合いで、Bから私にこの公演中止の経緯について一度、釈明の連絡がありました。
ただし、私はその件について主催者Bから事情を聞きましたが、その時点では、特にこの件を理由として、自分の作品へのAさんの参加を取り下げるつもりはありませんでした。

他の公演で何かがあったとしても、私としてはAさんとの仕事をこれまで複数回行っており、信頼関係が築けていると考えていたためです。


しかしその後、AさんのSNSへの書き込みを見て私の認識は変わり、オファーを取り下げるという判断をしました。

Aさんの書き込みは、過去の私との仕事の現場で起きた、Aさんがハラスメントと感じた案件について書かれており、私は、私のそのときの対応がまずかったと批判されているかのように曲解してしまいました。過去のハラスメントについて、「その時は言えなかったが、いまならば言える」ということは往々にして起こることであり、それを「なぜ、あの時言わなかったのか?」と批判すること自体がセカンドハラスメントに通じるという認識を、その時、SNSを読んだ私は持っていませんでした。


主催者Bと私が連絡を取っていることを知ったAさんは、私がオファーを取り下げた理由を、この他公演のハラスメント問題にあると感じたようでした。要するに、私にその意図はなかったとはいえ、ハラスメントの申し立てをした側を、事情も聴かずに他の公演の役を下ろすという、典型的なセカンドハラスメントを結果として起こしてしまいました。


この点に関しては私の想像が及ばないことでしたが、確かに状況的にそのように受け取られてしまっても致し方ありません。
また、この時点で、対応を制作者に任せ、自分で真摯に、この案件に対応してこなかったことも反省しています。

結果として対応を任せた制作者の態度が、Aさんをひどく傷つけたことも、すべて私の責任であり、ここに謝罪いたします。

その後、Aさんと第三者をまじえてのオンラインでの話し合いを通じて、Aさんの書き込みについて誤解をしていたことがわかりました。

私はまずAさんに寄り添い、じっくり話を聞くべきだったと思います。

SNSの書き込みに対する誤解を解く努力を怠ったこと、慎重さを欠いてオファー取り下げを行ってしまったこと、解決を制作に任せたこと、

Aさんがこの件をセカンドハラスメントであると感じ、傷ついていることを、すべて重く受け止め、ここに謝罪いたします。

大変申し訳ありませんでした。

キャスティング公表前に変更になったことを公開することはあまりないかと思いますが、今回の出来事に対する私の過失を強く受け止めることと俳優Aさんの希望を合わせて、このように経緯を発表するに至りました。
今後はこのようなことを二度と起こさないようキャスティングの変更については、相手の状況を理解し、私自身が直接俳優と納得の行くまで話し合うことといたします。
今回の出来事は、自らの権力性、ダメージを受けた他者への思いやりについての私の理解不足を痛感する貴重な機会だと受け止めております。
私もAさんも、この経緯を周りの方々が知ることによって、周囲でも同じような過ちを犯さないことになればと願っています。

話し合いを重ね、双方の合意に達しましたので、ここに経過を報告し、謝罪の意をここに表明いたします。
なお、文中にある主宰者Bについては、一度電話があったきりであり、今後も関与するつもりはありません。Bの劇団が起こしたハラスメント案件についても擁護する意図は私にはまったくないことを、ここに改めて表明いたします。

松井周