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サンプル:13『シフト』

2013.12.6

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シフト

そう言えばこの作品は、サンプルと名乗り始めての最初の作品でした。
「人間ではなく、人間の標本、人間もどきを描きたい!つまり、ゾンビ。
何故なら私たちはもうゾンビだから!」と当時(2007年)は意気込んでいたのですが、
最近の自分の作品と比べるとかなり「人間」らしい作品だと思います。
何とかして「ゾンビ」に抗おうとするあがきのようなものを感じます。
資本主義と伝統行事と生殖の問題に束縛されつつ、ジタバタしています。
今回の再演が、そんな「人間」であった頃の日本人に対するレクイエムのようだったら
ちょっと悲しいので、せめて「ゾンビ」的な愛嬌をふりまきたいと思っています。

松井周

去年『永い遠足』をみたとき、
現在の日本の演劇の王道はサンプルなんだ、としみじみわかった。
サンプルは、日本演劇の先人たちの築いた遺産を、みずからの財産としている。
そしてそれをただ保存するのでなく、現在にたいして運用してる。
同時代にサンプルのような堂々たる嫡子がいてくれて、心強い。
しかも彼らが今後ますます堂々としていくだろうことも、まちがいない。
そうなるための地力が彼らにあるのは、上演に立ち会えば容易にわかる。
サンプルのような集団、松井さんのような作家が存在するなら、
僕は僕でミュータントとして精一杯やろう、とおもう。

岡田利規(チェルフィッチュ)

舞台写真

シフト

シフト

シフト

(c)青木司

<あらすじ>
山と川に囲まれた村。
元々の村はダムの建設によって沈んでいる。
大型スーパーの進出はその村を危機に陥らせる。
村民は伝統を蘇らせ、村おこしをはかろうとする。
村のある家に、都会から男がやってくる。
娘と結婚するために。
村では今、外からの血が必要とされている。